FXで儲かっている人はどれくらいいるのでしょう?
多くの人が上手く利益を出せず、損をしてしまっているのではないでしょうか。
「全く逆のトレードをしていたら儲かっていたのに」とか「上手く利益を出している人はどうやっているのか?」など、様々な思いが心の中を駆け巡ることも。
やがて誰もが「利益が出せるトレードをそのまま真似したい」「上手い人が買うなら自分も買い、上手い人が売るなら自分も売っておこう」という考えにたどり着くことでしょう。
そして、それを実現できるMAMという運用手法があります。
自分の資金を“トレードが上手い誰か”に託す、また逆に誰かの口座の資金もまとめて自分がトレードするという運用が可能になるのです。
ただ、このMAMに関しては違法性があるとの話も耳にします。
実際のところはどうなのでしょう。
この記事の目次
MAM(マム)口座とは?
自分で管理せずに売買を他者に託す、または他者の口座の資金の売買を請け負うことができるシステムです。
Multi Account Managerの頭文字を取ってMAM(マム)と称しています。
このシステムは1つのマスター口座(運用口座・親口座)で行った為替取引が、サブ口座(子口座)にも一定ルールで反映され自動的に同様の取引を行う仕組みで、実際には親口座の売買が子口座にコピーされ、子口座はその売買を自動的にかつ即座に行う仕組みです。
1つの口座から複数の口座の資金を運用できるシステムで、
・実際に売買を行うトレーダー
・そのトレーダーに自分の口座資金の運用を任せるトレーダー
が存在します。
売買を行うトレーダー(親口座)は任された資金で得られた利益から、取り決めた分の報酬を受け取り、そのトレーダに売買を任せた側(子口座)は報酬として支払った残りが利益となる仕組みです。
これが上手くいけば、「為替取引が苦手な人でも、上手な人に売買をしてもらって利益が出る」ということになり、売買を行ったトレーダーも他者の資金運用で報酬が得られるという形となります。
そして、このように上手くいくことが期待され、MAMが盛んに注目されるようになってきました。
ただし、仕組みからみて他者に投資を信託している形であるため、投資信託同様のものとみなされます。
したがってMAMの親口座のトレーダーは、「金融商品取引法2条8項12号」で定めるところの金融商品取引業であると考えられるのです。
そこからMAMは違法なのか?という話が出てきます。
※MAMについてもっと詳しく知りたいという方は、以下の記事を読んでみてください。
MAM(マム)口座はFXで違法?利用しても大丈夫?
まず、MAMがどのように法律とかかわって、どのように判断されていくのかを見ていきましょう。
MAMにかかわる法律は「金融商品取引法」
違法かどうかをを探る上で、どの法律に対してのことかをはっきりとさせる必要があります。
MAM口座でのFXに関係のある法律は「金融商品取引法」です。
特にMAMの親口座となって他者の口座の通貨売買を管理する場合は、投資運用業として登録が必要です。
「金融商品取引法2条8項12号」によって「投資判断の全部又は一部を一任」「投資を行うのに必要な権限を委任」がMAMの親口座の運営者(売買を行うトレーダー)に当てはまるためです。
MAMの子口座は何の制約も無く利用可能
親口座の機能を持たないが子口座としては機能するものなら、そのMAM口座には違法性がないといえます。
「金融商品取引法」で投資運用業として登録を義務付けているのは、委託をされる側であって委託する側には規定がありません。
親口座を運営したい場合は投資運用業として登録すればOK
もし、MAM口座で親口座を運営したいなら、投資運用業として登録すればOKということに違いありません。
しかし投資運用業としての登録は、個人が行うには極めて難しいものです。
業務内容や方法、業務運営体制、内部管理体制や社内規定など2か月間の審査を経て登録されるかどうか?というもので、MAM口座をやりたいので登録したいというレベルの話ではありません。
小さくとも投資会社や証券会社としてやっていこうという組織が対象の話なのです。
無登録での親口座運営は罰則有り
登録なしで親口座を運営した場合、違法なのはもちろんですが思いのほか事が重大です。
金融商品取引法197条の2第10の4号には次のように定められています。
「MAMはいいシステムだし別にいいじゃないか」と気軽にやっていたとしても、実際にはこのように罰則があり、刑務所行きまでの覚悟が必要です。
MAM(マム)口座をFXで利用する上で違法性が問われる場合はある?
結局のところ、MAMを運営・利用することで法に問われる可能性はあるのでしょうか。
MAMに関しての法律整備は完全ではない
ITが普及と進歩を遂げてきたことで、世の中の様々なスキームが大きく変化してきました。
データファイルやプログラムファイルは簡単にコピーでき、違法に複製される問題がITによって加速しました。
動画や文章の著作権も新たに問題となり、法整備や法の取り締まりはITの進歩に遅れながら徐々に進んでいる状態です。
MAMのシステムも、ITのない時代には不可能で進歩とともに生み出されてきた新たなスキームだといえます。
現状でMAM口座と関わる法律は「金融商品取引法」
金融商品取引法は、MAMというシステムが存在しない時代に定められた法律です。
なので、MAM口座のことまで考慮されていません。
それは著作権法があれど、動画投稿サイトのことまで考慮されていなかった問題と同様のことで、著作権法上問題あるアップロードはどうなのか?ダウンロードはどうなのか?と迷走した時期がありました。
しかし、今では違法なアップロードが取り締まられた例があります。
MAM口座について、現状では取り締まられたとのニュースもなく、まだ追い付いていない状況と考えられます。
またMAM口座がFXで世界的なスタンダードとなれば、考えられるのは何らかの新たな法整備です。
そのような状況から、MAM口座を取り巻く法的な環境は今後変化する可能性があります。
海外企業が運営しているMAM口座であれば問題ない
海外というと2通り考えられます。
まず1つ目に、海外に在住してMAM口座を活用しているのであれば、その在住している国の法律の問題となるということです。
その国でカジノが認められているなら、そこで賭博を行なっても日本で罰せられることは無いというのと同じ道理ですね。
2つ目は、日本に在住しながら海外のFX業者でMAM口座を開いている場合はどうなのかという点です。
現状、MAMサービスを提供している日本の業者は存在しませんので、MAM口座を開くとしたら海外のFX業者に限られます。
そしてこの場合、業者が海外だから違法性がないということにはなりません。
金融商品取引法では、FX業者の国籍を問わないからです。
つまり、無登録での運営は法に触れますが、現状それを取り締まる動きが目立ってはいない状況だといえます。
MAM(マム)口座をFXで利用する上での注意点とは?
それでは、実際にMAMを利用する際に注意すべき点にはどんなことが挙げられるのでしょうか。
具体的に見ていきましょう。
親口座で運営は投資運用業の登録が必要
これは海外のFX業者でMAM口座を開いていても同様で、実質的に個人では投資運用業の登録は不可能です。
運用益が優れたトレーダーに子口座でという形で乗っかるのであれば、法的に何の問題もありません。
MAMは利益を約束されるわけではない
MAMのシステムは非常に画期的であり、「上手なトレーダーに乗っかっていれば儲かります」という素晴らしい話です。
しかし、その上手なトレーダーは誰なのでしょう?そこが問題なのです。
良いシステムですが、必ず儲かるシステムではありません。
売買を託したトレーダーが失敗して大損ということもありえます。
画期的なシステムに付け込んだ詐欺案件も多い?
確かに、下手な自分がするよりも為替取引が上手い人に取引をしてもらえばよいというのは、合理的なシステムです。
しかしそれを大げさに表現して、儲かる一方だと誇張するような勧誘、怪しげな詐欺も頻発しています。
必ず大儲けができるなどと信じず、自分自身がしっかりと調べてMAM口座が開けるFX業者を見つけるべきです。
MAMサービスの契約やFX業者の取り決めに注意
MAMでは、資金のロックアップ期間が定められているかを確認しましょう。
ロックアップ期間とは、この場合は売買の委託期間のようなもので、ロックアップ期間が終わるまでは資金を引き出すことができないという制約が設けられている場合があります。
したがって、出金もできないのです。
出金できる条件などはFX業者で取り決められている項目もあります。
委託する親口座のマスタートレーダーの腕前は実績などから客観的に判断して、トレード手法などの大げさな能書きには騙されないように心がけるとよいでしょう。
MAM(マム)口座のFXにおける違法性についてまとめ
今、FXで話題のMAM。
1つの口座で売買すれば、その売買は複数の口座で同時に行われるといった連動制をもつ口座のシステムです。
このシステムが上級者の売買をコピーして自動的に売買してくれるMAM口座を実現しています。
ただし、その違法性について様々な議論があり、また取り締まりや法整備も追い付いていない側面があります。
マスター口座(運用口座・親口座)の運営は金融商品取引法により投資運用業の登録が必要です。
もし投資運用業として登録されていない者が行うと“5年以下の懲役、または500万円以下の罰金”となります。
また、MAMは可能性は高いにしても確実に儲かるといった代物ではありません。
MAM口座の利用を検討されている方は、事前にそのMAMがどのような体制で運営しているのかをチェックし、納得した上で利用していくようにしましょう。